●活動アルバム

◆2011年4月28日 GWにデイキャンプ 炊き出し

  震災49日忌が過ぎた  「被災避難者自身が行うバベキュ- 」
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市内の神社にて バーベキューコンロ、炭などを準備 今回のメンバーです
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事前打ち合わせ 保冷車(2t)ワゴンなどに積み込み 避難所のみなさん
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子供たちも喜んでくれました みなさんにご協力頂きました 小さい子も美味しそうです
BBQ10   食材:2011食分提供
Kanesue_logo (株)カエスエ (一宮市)
あたたかいお食事に話もはずみます    
◆東日本大震災被災地で炊き出し

 薪流会では5月1日(日)〜5日(木)、大野祥雲会長以下14人が東日本大震災の被災地を訪れ、宮城県東松島市で2日間にわたり、計約2千人を対象にバーベキューの炊き出しを行った。避難生活が2ヶ月に及ぼうとする中、給食ばかりの食生活や「もらうこと」に満たされない気持ちを抱く被災者は多い。被災者参加型のバーベキューは、新鮮な驚きをもって受け入れられ、「人間に戻れた」と、身も心も満たされたとの声が随所で聞かれた。

■2千人分を輸送
岐阜隊9人、浜松隊5人(うち、東京から1人合流)がそれぞれ1日夜に出発。2トン冷凍車を含む計5台に分乗し、一路、東北を目指した。食材、機材はすべてあらかじめ調達し、冷凍車などで現地へ運ぶ。
バーベキューコンロ、肉(牛肉、豚肉、ウインナー)3キロ、カット野菜1パック、焼きそば5玉、焼き肉のたれ、焼きそばソース、油、ソフトドリンク、缶ビール5本、木炭3キロ、トング、軍手、ブルーシート、着火剤、椀、割り箸、うちわ、ゴミ袋、などなど――これで1セット。1セットが10人前で、それを200セット分用意した。1日につき5カ所程度でおおむね20セットずつ、計100セット、約1千人分の炊き出しをし、2日間で計200セット、約2千人に食べてもらう計算だ。
東北道をひた走る車両は、福島県へ入ると、時折、激しく上下に揺れた。3月11日の地震でゆがんだ路面は、応急の補修を施しただけで、段差が残っているからだ。パーキングエリアで休憩し、運転を適宜交代しながら、安全第一で北へ向かう。東北道を降りて仙台東部道路に入ると、まもなく、右手に田園地帯が見えてきた。高架の道路からは、数キロ先に海岸の松林まで見通せる。だが松林は所々、櫛の歯が抜けたようにまばらで、本来なら田植えを待つばかりの田は、塩水とヘドロとがれきとに容赦なく覆われ、あちこちでさびかけた自動車が、死んだ金魚のように腹を見せている。これから訪れる被災地の厳しさを、早くも予感させられた。

■強風で順延
東松島市のコミュニティセンターに着いたのは2日午前6時半だった。同市のボランティア活動の拠点となっており、芝生広場にテントを張って活動する人たちも見られた。だが、この日は朝から、あいにくの強風。早々に炊き出しの延期が決まった。後日聞いたところでは、前の晩から炊き出しを楽しみにしていた被災者も多く、残念がっていたという。炭火を使うこともあり、安全第一での判断となった。
中止を受け、大野会長以下数名は、岩手県一関市に開設を予定している活動拠点「薪流村」の現地を確認するため、同地へ向かった。薪流村は、特に大きな被害を受けた岩手県陸前高田市から1時間弱の場所にある2棟の民家からなり、30〜50人程度が宿泊できる。今後、薪流会のみにとどまらず、広くボランティアの寝泊まりの拠点などとして活用されることが期待される。
その他のメンバーは、まず被害の実情を肌で感じようと、被災地を見て回った。近隣で被害の大きかった東松島市野蒜(のびる)地区、七ヶ浜町などを見て回り、野蒜地区では焼香、読経して犠牲者の冥福を祈った。各地区では、道路上の障害物は撤去され、大量のがれきも集積されており、復旧がある程度進んでいることがうかがえた。一方で、急を要しないと判断されたのか、田畑のがれきは手つかずのままで、活動の進捗状況にも濃淡があった。
この日、一行は仙台市内のホテルに投宿した。仙台市中心部は、一部のビルの外壁にひびが入るなどの被害が見られたが、店舗はおおむね開いており、市民生活はいつも通りだった。

■一転、好天
翌日は、うってかわって好天に恵まれた。7時過ぎにホテルを出発し、8時半に前日と同じ、東松島市のコミュニティセンターに到着。この日は、同センターを始め5カ所で活動することになった。
車で避難所を順に回り、それぞれの場所で必要な機材と担当者を降ろし、設営を進めてもらいながら、最後に冷凍車が食材を配って回る。一帯の電気は復旧しているが、冷蔵庫を使える避難所は限られるため、できる限り新鮮な状態で食料を配るための措置だ。
同市大曲地区の公民館での炊き出しには、約100人が参加した。同所では、被災者の避難所リーダーを中心に良好なチームワークができあがっていたようで、準備の段階から、「バーベキュー台の組み立ては私が」「火おこしは子供たちにも」と、自然な流れで参加する人の輪が増えていった。
薪流会のメンバーは機材の組み立てや食料の運び込みなどに追われたが、合間を見ては、被災者と懇談の時間を持つことができた。公民館周辺では、胸の高さまで津波がきたという。公民館の壁にも、茶色い泥の跡がくっきりと残っていた。目の前を幹線道路が通っているが、道路を下校中だった子供たちのなかにも、犠牲者が出た。まだ行方不明者も多く、つい先日も、近くで若い女性の遺体が見つかったという。バーベキューの間も、捜索中なのか、自衛隊ヘリの音が響いていた。

■「人間に戻れた」
深刻な被害とは裏腹に、バーベキューは和やかに進んだ。家族やご近所さんごとにバーベキュー台を囲み、久しぶりの、自分で料理した熱々の肉に舌鼓を打った。誰しもが、忘れかけていた日常の団らんのひとときを、取り戻した様子だった。
あるトラック運転手の男性は、家もトラックも失った。食料や水を運んでくれる自衛隊には感謝しているが、彼らが持ってくる冷めた弁当は、正直そろそろしんどい。風呂は男女別で1日おき。避難所は段ボールで仕切られているが、高さは腰までと低く、隣同士は丸見えだ。海沿いに仮設住宅が造られるそうだが、津波をかぶった土地で安心して住めるのか――。
何かとストレスの多い避難所暮らし、悩みはつきない。そこへ、5月の晴天の下、バーベキューをし、家族や気の置けない友人と思い切り楽しんだ。「今日は、人間に戻れた気がする」。男性はそう言って、5月の太陽を浴びて少し日に焼けた顔を、ほころばせた。
参加者は片づけにも率先して取り組んだ。会場は公民館の駐車場だったが、片づけのため水道ホースを出したのをきっかけに、側溝や壁などの泥の掃除を始める人たちもいた。バーベキューをきっかけに、被災者同士のつながりも深まったようだ。
ただ、避難所、被災者と一口に言っても、取り組む姿勢にはばらつきがあった。同市内で最大規模の避難所だったコミュニティセンターでは、高齢の女性が「焼いてもらって、もらうだけのほうがいい。並ぶのは慣れた。バーベキューといっても、家族のいない人はどうするの」とつぶやいた。実際、同所では市職員や、元からいるボランティアが間に入ったことも影響したのか、協力的な被災者が少なかった。避難所の規模が大きくなるほど、行政任せ、ボランティア任せの傾向が強まるのかもしれない。今回の炊き出しは、「参加型」がコンセプトだからこそ、今後は、まず参加してもらうまでの導入部に、ひと工夫が求められそうだ。
トラブルもなく活動を終え、一行は、夕方に仙台市内のホテルに入った。
翌4日は、朝は薄曇りだったが、昼から晴れ上がり、風もない好天となった。東松島市内の臨済宗定林寺にいったん集合し、同寺周辺の、前日よりも多い8カ所で活動した。この日の炊き出しも、大いにわいた。

■避難所の緊張
「仮設住宅当たったけど、まだ避難所の人には言ってないんですよ」。2日目のバーベキューが始まる前、ある避難所で、被災者の女性が薪流会のメンバーにささやいた。
東松島市では、5月から順次、仮設住宅の抽選、説明会、入居が始まっている。現在では、一つの地区内でも、すでに個人的に家を借りて出て行った人、仮設住宅に移った人、抽選に当たって引っ越し待ちの人、家は残っているがライフラインが不十分で暮らせない人、身寄りのない人、など、置かれた状況の違いが目立っているようだ。
震災発生当初は、全員が「食うや食わず」という極限状況でお互い助け合ってきた地域社会でも、不自由な生活が長引くにつれ、「格差」や「不満」「対立」が目に見えるようになってきた。そうした人間関係の緊張を高まりが、紹介した女性の発言につながったのだろう。
そんな状況だからこそ、避難所や地域の一体感を高めるような形の支援の必要性は、高まっているといえるだろう。この女性も、バーベキューを通じて、被災者同士での会話も弾み、少し、緊張がほぐれた様子だった。
被災地では、衣食は物量的には足りつつある。だが、本当に人間らしい生活を送るためには、それだけでは足りない。家族や地域の仲間とのふれあい、温かい食事を囲んだ団らんのひとときなど、「量より質」を高めることが、これからも続く避難生活を円満に過ごしてもらうカギとなるだろう。
その意味で、今回のバーベキューは、ちょうどいいタイミングで、今まさに求められていた、人々が地域や家族とのつながりを再認識できる、「人間に戻れる」食事の場を提供できたといえるだろう。

                                - 文責:薪流会 -

協賛 (株)カエスエ (一宮市)

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